東埼玉新聞社
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2017.01.06(金)
救急隊員への暴行事件で100条調査特別委を設置
吉川松伏消防組合議会、


 救急隊員が出動現場で市民から暴行を受けた事件の真相を究明するため、吉川松伏消防組合議会(長谷川真也議長=松伏町議会・町民ク)は、昨年12月の定例議会で地方自治法第100条に基づく「救急隊員暴行事件に関する調査特別委員会」(遠藤義法委員長=吉川市議会・共産、委員7人)を設置した。同条項は強い調査権限が与えられ、証人が虚偽の陳述をした場合は偽証罪が適用される。
 暴行事件は2012年12月30日午前零時30分過ぎに発生した。119番通報を受けて救急隊員と支援隊員計6人が吉川市中野の会社社屋に出動、倒れている傷病者に心肺蘇生を施していた友人に交代を懇願したが、酩酊状態の同人は「来るのが遅い」などと繰り返し叫んで離れず救急活動を妨げたうえ、救命士の頭を殴り全治2週間の打撲傷を負わせた。救急隊は吉川警察署に出動を要請、警察官が赴いたが特段の措置をしないで引き揚げた。傷病者は病院に運ばれたのち死亡した。
 同日午後、消防組合は、消防本部次長、支援隊長、暴行を受けた救命士の3人の名前で吉川警察署に被害届を提出した。この顔触れは“組織として対応”したことを意味する。この時点では加害者=被疑者が公になっていない。が、1月7日突如として被害届が取り下げられた。加害者側から謝罪の意向が当時の管理者である戸張胤茂吉川市長らに伝えられ、加害者と組合側で和解の話し合いが行われた。管理者が中原恵人市長に交代した後の調査で、戸張氏が取り下げを指示したことが判明した。戸張氏は取り下げの指示を一貫して否定している。
 この問題をややこしくしているのは、加害者の氏名が公表されないことにある。公然の秘密的に言われているのは、吉川市内在住の内装業男性で、市内有力者の一族。兄弟に市役所の部長、市議会議員がいることなど。初動段階で情報が錯綜したことから“替え玉”説が依然強く残っている。
 事件後、消防組合と吉川市の両議会で毎回のように一般質問で取り上げられた。戸張市長時代は、答弁も木で鼻をくくったもので、情報公開で得た救急活動記録などから概略が分かり、時間の経過とともにある程度のことが分かったものの、事実の解明には遠かった。
 とくに消防組合は当初から徹底した箝口令を敷き、当事者へのアプローチすら許さなかった。救急救命活動に対する重大な妨害行為(公務執行妨害・傷害事件である)を市民に知ってもらうことが、今後の円滑な活動に繋がるとは考えられなかったのだろう。地域社会のしがらみに沈んだのか、指揮命令系統の中で善悪・是非の判断が麻痺してしまったのか? 
 100条委員会がどこまで真相に迫れるかは分からない。が、当事者の救急隊員ら、加害者及びその親族、消防組合幹部など事件を知る全てを証人として呼ぶことができ、各々が事実を事実として話してくれれば“闇”は晴れる。